平和主義とは、「共生」の価値観の一表現であるが、同時に、「効果的な国防」という観点からも必要である。
今、保守右派は「北朝鮮の脅威」を誇張して国民の危機意識を過剰に煽っているが、私は違和感を覚える。
以下箇条書きにする。
- 北朝鮮の仮想敵国は米国・韓国であり、日本は1000年の敵といわれてはいるが、直接関係ない。
- ICBMは米国に対しての兵器であり、日本とは関係がない。1000キロ上空を通過しても日本の脅威ではない。日本にたいしてはノドンで十分である。
- ICBMの打ち上げに対してPAC3を振り向けているが、PAC3は射程20キロ程度の能力で、自分に向かってきたミサイルを終末航程で狙うものであり、守備半径が短く、都市は守れず意味がない。(基地防衛にのみ有効)
- 北朝鮮のノドン保有は200から300機といわれている。また、一度に多数発射されるとイージス艦のコンピューターがフリーズするとも言われている。
- 2005年にプーチンは北朝鮮では原爆を保有している事実を知っていた。現在長崎程度の原爆数十発を実装可能といわれている。
- 監視衛星の光学センサーは雲とか夜間では使用できない。(レーダーでどの程度の能力があるのかは不明)
- ノドンは山の中や、輸送式起立発射台または工作船などに分散され、隠されているので、「敵基地攻撃」は有効とは言えない。
- 従って、北朝鮮からの攻撃を完全に守ることはできない。
しかし、北朝鮮が日本に先制攻撃を仕掛けてくることはあり得ない。何のメリットもないからだ。また、先制攻撃は北朝鮮の破滅をも意味する。
北朝鮮は、米国から先制攻撃を受けないためにICBMや核で武装しようとしているのだ。
唯一危険なのは、日本が憲法を改正して、集団的自衛権と称して米国、韓国とともに北朝鮮の攻撃に加担することだ。敵国と見做されれば、独裁者の必死の反撃で大阪や東京、沖縄にはノドンで原爆が飛んできて、数百万人は死ぬだろう。国防と称して国難を生む、それが右派保守の愛国心である。
経済援助はしなくていいので、北朝鮮の生存権を認めてあげればいいだけだ。現在は残念なことではあるが、核を主として、力のバランスにより平和が保たれている。しかし、窮鼠猫を咬む状態にすると、独裁国家は何をするかわからない。
日本は、間に入り、双方に平和主義を訴えればよい。平和主義の国をどこも攻めては来ない。憲法を変えて軍備を増強しても日本は守れない。
北朝鮮がグローバルな経済・社会に巻き込まれると、必然性から行動が変わってくる。良い例が中国である。
また、グローバルな経済・社会に交わり、北朝鮮の国民が個人崇拝の呪術から解き放たれたときは、内部から自浄作用ができるかもしれない。内部からの攻撃ならば、日本も安全である。
また、日本の国家予算からすると、軍備の拡大は、老人への福祉や教育予算などの大幅な削減を余儀なくされる。今日本が抱えている問題の中で、軍備拡大をして米国主導の戦争に巻き込まれることが賢明なのか、愛国者ならば右派保守自信も再考をしてもらいたい。
また、共和党は軍産複合体とのかかわり強いので、両ブッシュ大統領のときも戦争が多かった。ご多分に漏れず、トランプ大統領も国防予算の増加には熱心だ。共和党のやり方は、緊張状態を必要以上に演出することである。
米国の戦略としては、日本が集団的自衛権のもとで、米国の軍隊と一体化して軍事作戦
に参加すること。そうすれば、日本に武器も売れるし、軍事力として強大になる。
米国は日本に核武装もして欲しい。日中の緊張が高まるならば、日本と中国が直接核でやり合ってほしい。米国を核の危険に陥れても日本を守りたくはない。しかし、実際中国が日本の本土を攻めに来ることはないであろう。グローバリズムとはそのようなものである。世界経済から孤立すれば、失うものは計り知れない。グローバリゼーションは必然的に、共栄・共存を選ぶものである。
国の指導者は、世界の潮流を見誤ってはいけない。
結論
- 平和主義は、日本人としての価値観に最も合ったものだ。
- 平和主義は、国防としても最も有効な手段である。
- 憲法改正、軍備拡張は亡国のシナリオである。
2017年10月10日
安藤 徳彰