Contents
7月2日、北欧の旅より戻る。この旅行に際して興味があったのは、
- 日照の少ない国で再生可能エネルギー政策をどのように行っているか
- 北欧4国は何故高い福祉、給料、教育、幸福度を享受できるのか
- ノルウエーのフィヨルドとニュージーランドのフィヨルドとミルフォード・サウンズのどちらか凄いか
速足の旅でも何かヒントが得られるのではないかという期待があった。
旅の最初に経験したのはFINAIRの機内食のチキンカツの不味さ。フィンランドの食事は英国と肩を並べて不味いという噂があったが、事実かも知れないと思った。
(1) 旅人が感じた各国の再生可能エネルギー政策
北欧の国々は国民が環境に関する関心が高く、それを保持する努力をしている。また、自然は公共のものであるとい意識が強い。
後述するがフィンランドで進めているMaaSは移動手段そのものを効率的に活用するシステムで、将来個人所有の車は大幅に減少するであろう。
デンマークでは、公害のもとになる車に乗らないように、公共交通機関使用を強く推奨している。また、例えば首都のコペンハーゲンには自転車専用道路があり、巨大なバイキングの子孫たちが凄い速さで乗っているので歩行者は要注意だ。この専用道路を歩行者が横切るときは自転車優先である。
コペンハーゲンからスウェーデンのストックホルムへ向かう船旅で観たものは、巨大な最新鋭の発電用ゴミ焼却炉と海上に林立する風力発電の風車だ(写真)。風力発電で50%以上のエネルギーを賄っているそうだ。
スウェーデンにはゴミ償却のための高い技術がある。50%のゴミを焼却して発電に使用し、残りの50%はリサイクルしている。埋め立てるのはごく僅かだ。現在60%近く再生可能エネルギーで賄っている先進的な環境大国である。
ノルウエーは恵まれている。食料の自給率は100%という。おまけに北海油田がある。しかし、ほとんどのエネルギーは水力発電で、後は他の再生可能エネルギーである。
環境を守ろうとする国民の意思が反映され、年月をかけて再生可能エネルギーの目標が達成されつつある。これが北欧のエネルギー事情だ。
日本は再生可能エネルギー後進国であり、おまけに政府はしつこく原子力に頼ろうとしている。
日本のエリートと言われる人達は、一度方針が決まると、状況の変化に合わせて変更できない。時代の流れや状況変化に合わせた問題解決ができない。偏差値教育に明け暮れした、暗記バカともいわれている。この状況は教育がもたらすもので、戦前から変わらない。いわゆる『失敗の本質』そのものだ。
また、国民は、投票によって、その意思を反映する政党を選ばない。騙されやすい。狭い国土に44基の原発がある。日本を攻めるには原爆要らない。ドローンに爆弾で十分だ。おまけに、日本には天災が多い。軍事費増大にうつつを抜かし戦争の危険を増すより、再生可能エネルギーを進めてはどうだろうか。
日本人は中国のテレビを見たことがあるのか。今日7月10日中国のテレビ番組を見ていたら、関東軍の進めた「三光作戦」に対する抗日の記録を放映。これは「奪い尽くせ、焼き尽くせ、殺し尽くせ」という作戦で、堤防群を破壊し農地に水害を持たらし200万人の人民に被害を与えた。日本軍の通った後は、死骸だらけであった。この作戦を指導した辻正信参謀は、戦後策戦の天才として持て囃されて、国会議員となった。その後東南アジア旅行中に行方不明になった。当然の報いである。
歴史修正主義者達が日本に政権にとどまる限り、日本は過去の清算ができずアジア諸国との潜在的な危険性を内包する。韓国との関係悪化も祖の影響である。先日「Battle Ship Iland(軍艦島)」という韓国映画を空路で見た。いわゆる徴用工の話。これを見た韓国人は、日本人を許さないことを心に誓うであろう。
(2) 北欧4国は何故高い福祉、給料、教育、幸福度を享受できるのか
先ず、福祉国家は「国民が望む」ことから始まる。つまり、国民が福祉を実現する政党を選ぶということから始まる。日本の様に、大企業、富裕層、既存権益者、特権階級のための政治を行う政党を、大多数の国民が選んでいては分配に価値観を置く政治は実現しない。国民は窮乏しても「自己責任」だ。実は、社会制度によって、窮乏に追い込まれているのにだ。
福祉国家における高い生産性と教育
同時に、国の経済が豊かでなければ、高い福祉は実現しない。バラまいてばかりで低い生産性にとどまると、かっての英国の「英国病」に陥る。また、国営企業は低い生産性の代名詞でもあり、ソ連がそうであった。
国の役割と民間の役割の最適化が必要だが、『新自由主義』の様に、市場に任せるのでなく、国が関与して、高い生産性を達成することが必要だ。生産性の高い分野への労働力のモビリティーを高める。女性も男性と同等の労働力になって、国民の生産性を高める。そのための保育の充実。時代の流れにあった高度の教育を国民に施し、また、リカレント教育を実施する。そのための資金を得るために特に高額所得者の税金も高くする。時代の流れにあった研究・法制度等は政府が役割を果たす。政府の無駄遣いをやめる。
北欧ではそれらの制度が補償されている。それにより女性の労働生産性の向上、時代の流れにあった人材・産業を育成し、高い生産性、所得を達成する。
フィンランド
先ず、フィンランドを見てみよう。人口約500万人の小国であり、資源に恵まれていない。それでも、一人当たりの国民所得は高く、EU加盟国である。
この国は、かって経済復興のために若い人材を大量に海外に留学させた。やがてノキアが世界の携帯の過半数を占めるに至ったが、その後iphone等に押され経営が破綻する。しかし、ノキア出身の人材は、多くのスタートアップ企業を立ち上げた。また、ノキア出身の企業に助けられて、ノキアも復権した。
MaaS (Mobility as a Service)
今世界で注目されているMaaS (Mobility as a Service)もフィンランド発である。交通手段の検索、予約、決済まで一括してスマホでできる。当然、シェアカーも含まれる。タクシー業界からの抗議もあったようだが、「時代の要請」として政府は業界を説得する。まず、日本の政府は既存権益優先なのでこうはいかない。
日本でも実験的に一部地域で試行されつつある。フィンランドのMaaS Global と言う会社がイノベーターだが、ここもノキア出身が立ち上げたベンチャー企業である。興味深いのは、利用者の最終歩行領域まで、WHILLという自動運転車椅子でカバーしていることだ。また、このシステムは将来の自動運転と直結して、時代を変える。
スウェーデン
スウェーデンにはエリクソンという会社がある。通信業者へ通信機器・サービスを提供する世界有数プロバイダーで、5Gのサービスに対する引き合いが世界各国から寄せられている。エリクソン以外にも、高い存在感を持った会社が林立する。IKEA 、H&M、 Volvoその他は忘れた。
北欧はどこでもそうだが、スウェーデンでは専業主婦は2%と言われている。政治家の半分が女性で、企業でも幹部や管理職に多く就いている。出産や育児休暇を経ても復職可能。教育費は男女とも無償だ。男女が平等に働くから、当然、国民一人当たりの所得も高くなる。
余談だが、旅行の自由時間にバルの様なところの道路に面している席に座したが、ウエイトレスが「Enjoy the Sun」と言ってビールを運んできた。日本の婦人なら日光を避ける。北欧の人は日光に飢えていて、6月末の夏至のころ日差しを追い求め、日差しの有る日は、公園で露出の高い服を着て、寝そべっている。
デンマーク
貿易の商才を生かして、色々な企業があるようだ。例えば、世界最大のコンテナ船を運営する開運会社、名前は失念、は世界60ヶ国の職員を雇い、コペンハーゲンの本社での言語は全て英語だそうだ。日本ではこうはなるまい。
ノルウェー
ノルウェーは石油資源、水産資源、農業、林業、水資源すべてに恵まれた国だ。国の借金がゼロである。
フィンランドも川が多いが、塩分を含んでいるので魚も鮭くらいしか取れない。鰊も極めて小ぶり。だから、フィンランドの食事は不味いにつながる。
ノルウェーの食料自給率は100%だそうだ。食材は豊かなようだが、パッケージ旅行なので自由な食事の機会がなく、美食に預かることはなかった。旅行の最後の食事は定石として旅行の山を持ってくるので期待した。ガイドの事前説明では夕食は「パイ料理でパイの中身は肉」とのこと。夕食はわざわざホテルにバスが迎えに来て港に向かったので期待は高まったが、着いてみると街のタイ料理店。何故か出てきた料理は、いわゆる「石井のハンバーグ」。嗚呼これならばBurger Kingが良かった。翌日出発日のホテルの朝食は美味しかった。
北欧4国全体として
北欧の人の価値観は、家族と過ごし、自然とかかわり、働くこと、学ぶことに悦びを見出す、健全なものだ。日本は享楽型である。国王では、日本の様なテレビ番組は見当たらなかった。
おそらく、学ぶこが偏差値アップや暗記でなく、楽しく学べるので、仕事もそう方式であろう。皆自分の仕事を楽しんでいる。人々は時間内に一生懸命働く。また人口が少ないので、日本なら5人でやる仕事を2人でやらなくてはいけない。省力するシステムを工夫する。
家には4時に帰り、年2ヶ月はバケーションを楽しみ、自然に関わるためにセカンドハウスを持ち、クルーザーを持ち、キャンピングカーを利用する。
北欧には、「自然享受権」が存在する。土地の所有者に損害を与えない限り、他人の土地への立ち入りや自然環境の享受を認める権利である。テントでの宿泊やヨット利用や果実採取権などだ。
福祉国家を支えるものは社会のニーズに合った高い教育機会の提供だ。教育を通して、時代に合った人材を育成し、新しい産業を創立し、社会の流動化(雇用及び産業)を高め。資産家や高額所得者から高い税金を徴収し、その資金で教育の無償化を図れば、社会階層の固定化は避けられ、格差は緩和され、労働の生産性も高まる。
日本では、富裕層、大企業、既得権益者、特権階級優先の政治が取られてきた。
その結果、中間層は消滅し、貧困層は増加した。その反面、大企業は収入を増やし、内部留保を貯め込み、外国の企業を買収し、自分の会社の株を買い上げ株主を優先し、資金を運用する。しかしその果実は雇用者に還元されないし、税金もそれほど増えない。国の税収増は庶民をターゲットにした消費税頼みだ。
安倍政権はアベノミクスの成功を謳っているが、多くの問題を隠したフェイクだ。大衆はだますものと決め込んでいる。ヒットラーと同じだ。
日本は平成30年で凋落し、先端技術でも後れを取っている。また、国の借金も積み重ね1000兆を超える。財務収支(プライマリーバランス)が均衡する見通しも立っていない。年金が事実上崩壊しているのに隠している。長い景気といっても、世界の好景気のおこぼれで、バブルが崩壊したら、日銀や年金運用資金などが買い支えた株式等が暴落し、国民の年金原資もなくなる。極めてリスクの高い状況に突入している。バブルは必ず崩壊する。
今のうちに国の在り方を変えないと大変なことになる。
(3) ノルウェーのフィョルドとニュージーランドのミルフォード・サウンドのどちらが凄いか
規模はノルウェーの価値だが、感動はニュージーランドであった。ノルウェーは6月末でも舳先の風はつめたく、さすがの中国人観光客もやがて船内に避難した。見るフォード・サウンドの空と海はあくまでも青く、そばにいた大きなカメラをもった美少女は「All I need is blue!」と叫んでいた。加えるに、ワインが美味しい。総合点で、ニュージーランドの優勝であった。